2016年4月2日に放送された世界一受けたい授業で、「ストレスを力に変える方法」をテーマに、ストレスについての特集がありました。
ストレスと聞くと、なんだか悪いものというのが一般的かと思いますが、今回の放送をみて、従来の概念を覆すストレスの意味や役割について学ぶことができました。
日常の生活においてストレスはつきもののようなものです。ストレスとの上手な付き合い方を学び、力に変える知識を学びましたので、内容を忘備録的にまとめました。ご覧ください。
ストレスの真実
今回、ストレスについて教えてくれるのは、ストレス研究のスペシャリストである、スタンフォード大学健康心理学者のケリー・マクゴニガル先生です。ベストセラー60万部を記録した「スタンフォードの自分を変える教室」の著者ですね。
ケリー先生はTEDプレゼンテーションにも登壇され、その講演の動画再生回数はなんと1000万超え!これはマイクロソフト社のビル・ゲイツさんや、アップル社のスティーブ・ジョブズさんをも上回る再生回数だそうです。いかに人気かがわかりますね。
一般的にストレスは悪いものという認識ですが、実はストレス自体が悪者ではなく、ストレスが健康に良くないと思い込むことが悪いんだそうです。ある実験では、ストレスは体に悪いと思い込むだけで死亡リスクが43%増加し、ストレスはむしろあった方がいいと前向きに思い込むだけで、死亡リスクの上昇は全く見られないことが判明そうです。
つまりストレスとの上手な付き合い方というのは、どうすればストレスを前向きに捉えられるかともいえますね。
思い込みが体を変える?
まず、ストレスはあったほうが良いと思い込み、受け入れることが大切だとケリー先生はいいます。この思い込みのことを、心理学の世界ではマインドセットといいます。
ただ思い込むだけでいいの?と思いますが、思い込む力を侮ってはいけないそうです。
ある例があります。ホテルでハードな仕事をしているのに、ホテルの従業員たちはふくよかな体型をした人が多かったそうです。本人たちは仕事が忙しいのか、普段は定期的な運動をしていないと思い込んでいたそう。そこで、ホテルでの仕事は立派な運動であることを教えると、4週間後、仕事内容はまったく変わっていないのに、従業員の体重や体脂肪率が減少したそうです。
思い込むだけで、人の体型を変えるだけの力があるんですね。
思い込みは寿命をも変化させます。年を取ることを、知識や経験が豊富になるとポジティブに思い込む人と、自分は役立たずとネガティブにとらえる人の寿命の差は8年だとか。
どうせ年だからと思い込むと、運動をしなくなり、ますます不健康になり、逆に、やればできるとポジティブに思い込んでいる人は、素直に医師のアドバイスにしたがい、運動をしたりすることによって長生きに繋がっているようです。
また人間はストレスを受けると、心拍数があがり、心臓の血管が収縮するそうです。ハーバード大学の研究によると、ストレスが人間にとって大切なものと思い込ませると、ストレスを受けた時に、心拍数は上がったままだが、心臓の血管の収縮がみられなくなったそうです。思い込みを変えるだけで体が反応する例ですね。
ストレスは上手に使えばプラスになる
ニューオリンズ大学の研究によると、ベテランと初心者のスカイダイビング中の心拍数を計測したところ、ベテランの方が心拍数が高かったそうです。ドキドキしているとなんだか緊張していて、悪いように思いますが、心拍数が高いのは決して悪いことではなく、ストレスを集中力に変えることができている例だそうです。
また、スタンフォード大の研究では、子猿を母親の猿から引き離し、子猿にストレスを与えるという実験の結果、引き離された子猿は過保護に育てられた子猿よりも、物怖じしなくなったそうです。
これは、ストレスが脳の前頭前野を発達させ、前頭前野が不安を抑えた結果だということです。つまり、ストレスを受けるような体験から強く成長することができるということですね。
逆の結果もあります。ストレスのない退職後のリラックスした生活は、うつ病の発症率が40%も高くなるデータがあるそうです。あまりにも緊張感のない生活も、いい影響を及ぼさないようです。
ストレスでドキドキすることは、逆に良い結果を生む
アメリカの中学・高校・大学の実験です。ストレスで興奮すると、アドレナリンが分泌されます。学校の試験中にアドレナリンの量を計測し、ストレスで興奮した生徒と、リラックスした生徒の成績を比較してみました。すると意外な結果が。
ストレスを受け、アドレナリンが急増した生徒のほうが成績が良かったそうです。これは、アドレナリンが五感を研ぎ澄ませ、意識を集中させるような作用に働いたからと考えられます。
これからは、テストなどで緊張したときは、「今日はストレスを感じているから、上手くいきそう」と思えば大丈夫ですね。
ストレスはチャレンジ精神を生む。
なにか新しいチャレンジをするときは、ストレスを感じることが多いと思います。そのストレスを感じるのが嫌で、チャレンジするのが億劫になっている人もいるのではないでしょうか。
しかし、チャレンジする人はストレスを感じることによって、血管の収縮が無くなり、鼓動が早くなって、全身にエネルギーが送られます。アドレナリンが大量に分泌し、高揚した状態になります。これをチャレンジ反応と呼ぶそうです。
このチャレンジ反応にもっていく、最も効果的な方法は自信を持つこと。では、どうすれば自信を持つことができるのでしょうか?
自信を持つ方法は、自分の個人的な強みを認識すること。どれだけ準備を重ねてきたか、また過去に問題を乗り越えた経験などを思い出す。そのときストレスがチャレンジ反応に変わるそうです。緊張したり、ストレスを感じても、良いイメージを持ち続けることが大切ですね。
辛いことから立ち直る方法
辛いことがあって大きなストレスを抱えた時、ある事をすると早く立ち直ることが出来るそうです。その、あることというのは「ボランティア活動」。自分がつらい時こそ、人のために何かをすることが、逆に自分の心を癒やすんですね。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)を負った人が、ボランティア活動をすることによって、そのダメージから早く回復するというデータがあるそうです。ボランティア活動をすると、オキシトシンという恐怖を鈍らせ、勇気を湧かせるホルモンが分泌されます。まさに情けは人の為ならずなんですね。
感想
ストレスは完全に悪いものだという認識で、なるべくストレスを避けようとしてきました。もちろん過度のストレスは人の心身の害になるものですが、上手に付き合うことができれば、力に変えることが出来るんですね。
また、ボランティア活動などの人を助けることが、自らを助けることになるとことに対し、科学的なデータがあることに非常に驚きました。近年、災害によってボランティア活動が盛んになっていますが、後押しをしてくれるような思いがしました。